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泉屋博古館分館
泉屋博古館分館
〒105-0032 東京都港区六本木1-5-1


[特別展] 住友グループの企業文化力 V

フランス絵画の贈り物

とっていおいた名画

Cadeaux pour la vie
Les tableaux français précieux

 明治時代に住友グループの礎を築いた住友家は、実業のかたわら芸術や文化事業にも高い関心を示し、時には事業所にも絵画を飾ってビジネスに花を添えてきました。 長年にわたってグループ各社が収集した様々な絵画作品は、しかし一般の皆様には余り知られることなく今に伝えられています。
 グループの文化的象徴でもある泉屋博古館では、一昨年よりグループ各社に収蔵されている絵画作品の数々をご紹介すべく、第1回展として 「花」、第2回展として 「パリに留学した日本人画家たちの逸品」 をテーマに公開しました。 お陰様でこれまでご愛好をいただきました。
 第3回目となる今展は、近代フランス絵画史上に名を残した画家たちをフィーチャーしました。 バルビゾン派のミレー、印象派のモネやマネをはじめ、新印象派のシニャック、フォーヴィスムの巨匠ヴラマンクやエコール・ド・パリのシャガールなどおなじみの画家たちの知られざる逸品約40点を特別公開いたします。

 住友家の西洋コレクションの始まりは、15代住友吉左衞門 (住友春翠) が1897年の欧米巡察の際、パリで印象派のクロード・モネの油彩画を2点購入したことが発端です。 今から120年前に将来されたこの2つのモネの作品は、日本に最初期にもたらされたモネの真作として記念碑的な位置を占めるともいえましょう。
 春翠はまた、青年画家たちの海外留学を積極的に支援しました。 中でも20世紀の初頭に若くして渡仏し、西洋絵画の根幹であったリアリズム (写実主義) を正面から移入しようとした鹿子木孟郎は、春翠の援助によってパリで絵画修業をつづけながら、一方で春翠の依頼によって西洋絵画を購入しては日本に送り続けています。 鹿子木が選んだ作品の多くは、パリでの自分の師匠であったジャン=ポール・ローランスをはじめとするアカデミー派の画家たちの作品でした。 その結果、ここに印象派と同時代のサロンの画家たちの作品がちりばめられるという希なコレクションが成立したのです。 住友家に収蔵されたそれらの絵画は、時をへてグループ各社のもとに届けられ、また戦後に各社が独自に収集した作品もそれらに加えられました。


会期: 2015 5/30(土)〜8/2(日) 展覧会は終了しました。
開館時間:10:00〜17:00 (入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし、7月20日は開館、翌21日は休館)
会場:泉屋博古館分館 東京


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「フランス絵画の贈り物」泉屋博古館分館

[特別展] 住友グループの企業文化力 V
フランス絵画の贈り物」 とっておいた名画
泉屋博古館分館
プレス説明会 & プレス内覧会 '2015 5_29


ミレー、モネ、ルオー、シャガールからミロまで

120年前、日本に初めてやってきたモネの絵、公開!


【展覧会の構成】 ―「フランス絵画の贈り物展」図録、プレスリリース他からの抜粋文章です―

 本展は、現在グループ各社に収蔵されているフランス近代絵画をグループの文化的象徴でもあるこの泉屋博古館に集めて公開するものです。

展覧会構成
§1 19世紀フランスアカデミズムと自然主義の台頭
 第1セクションでは、バルビゾン派のミレーやサロンで活躍したアカデミー派の作品をご紹介します。
§2 印象派へ、印象派から
 第2セクションでは、印象派のモネやルノワールなどを中心に、その先駆けとなったレピーヌやモンティセリと。印象派以後の新印象派やナビ派などの画家たちを紹介します。
§3 フォーヴィスムとエコール・ド・パリの時代
 印象派が登場した世紀末をこえ、革新と変貌を繰り返すことになる20世紀絵画の口火を切ったのが1905年のサロン・ドートンヌに出品したヴラマンクやルオー、マルケ、ドランたち若き画家たちであった。 彼らは、しぼり出した原色の絵具をカンヴァスにそのままぶつけたような、奔放で荒々しい表現を打ち出したことから、「フォーヴィスム」(野獣派)とよばれた。 第3セクションでは、20世紀の革新的な美術運動を担ったフォーヴィスムとエコール・ド・パリの画家たちの作品をご紹介します。
§4 フランスの現代作家たち
 キュビスムやエコール・ド・パリなどのほか、20世紀前半のフランス絵画の最前線を形成した芸術運動にシュルレアリスムがある。 1924年からこの運動に参加したジョアン・ミロは、無意識の世界の表現に関心を持ち、やがて独特の抽象的表現にたどりついた。 抽象絵画を描いたミロなど現代絵画への架け橋となった画家から、戦後現代までフランスで活躍する画家たちの知られざる逸品をご紹介します。


プレス内覧会の会場内風景と作品風景です、画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

ギヨーム・セニャック《ミューズ》

§1 19世紀フランスアカデミズムと自然主義の台頭
 この章では、19世紀フランス絵画の主流であった 「新古典主義」 の画家エンネルからローランスにつらなる 「歴史画」 を絵画の最上位としたアカデミズムの画家たちと、同時代のサロンに出品しながら自然に向き合い太陽光線のもとで美しい自然とそこで生活する農民の姿を描き出したバルビゾン派のミレーやのちの印象派とも交流のあったファンタン=ラトゥールらを紹介する。

・9 ギヨーム・セニャック (1870-1924) 《ミューズ》 19世紀末 油彩・カンヴァス 97.5 x 73.0cm
 本作は、鹿子木を通して住友家が購入品として納入された際の旧題は 「白衣の少女」 で,関西地域の別邸などに掛けられていた経緯をもつ作品。 セニャックが得意としたギリシャ時代のミューズ(女神)で、透明感のある肌や薄布など古典的写実による描写に特長がよく出ている。


エドモン・フランソワ・アマン=ジャン《裸 婦》

§2 印象派へ、印象派から
 この章では、モネやルノワールなどの印象派を先導したマネやレピーヌ、ポスト印象派のゴッホやセザンヌに多大な影響を与えたモンティセリから、印象派の筆触分割をより科学的に分析した 「新印象主義」 のシニャックやエルネスト・ローラン、さらにはゴーギャンに学んだナビ派のボナールなどを紹介する。

・20 エドモン・フランソワ・アマン=ジャン(1860-1936) 《裸 婦》 油彩・カンヴァス 長径81.0 x 63.0cm
 アマン=ジャンは、パリの国立美術学校で、アングルの弟子であった新古典主義の画家、アンリ・レーマンに学ぶ。 柔らかく穏やかな作風に、楕円形の丸みのある形がよくあっていたのだろう。 この作品は、木立の中にいる裸婦を描いたもので、わずかに微笑む裸婦は、首飾りと腕輪をして、腰には布を巻き、手には果実のようなものを持つ。



住友と西洋絵画の出会い ―― 野地耕一郎 (泉屋博古館分館 館長) 図録からの抜粋文章

U. コレクター住友春翠、登場。

 住友春翠(1864-1926)は、1864年(元治元年)、徳大寺公純の六男として京都に生まれた。 父公純は幕末に右大臣や国事御用掛を務めた公卿であった。 春翠は、幼い頃から和漢の典籍を修め詠歌を学んで公家としての古典的教養と技芸を習得して成人した。 その後、住友家の養嗣子として入家し、1893(明治26)年30歳で家長(住友では当主を「家長」と呼び習わしてきた)となり、15代住友吉左衞門を世襲した。 それ以降の春翠は、別子銅山経営の立て直し、銀行創業をはじめ鉱工業を軸に現在の住友各社の前身となる事業を展開。 1921(大正10)年に住友合資会社を設立し、ここに住友財閥が確立する。 そして1926(大正15)年に逝去するまで事業を統括、その生涯は住友の経営拡大と近代化を導くものだった。
…ところで、春翠の実兄にオーストラリアやベルギー公使などを務めた西園寺公望がいる。 西園寺は、明治初期に若くしてパリに留学しており、後に外務大臣や総理大臣を歴任した人物だが、ヨーロッパ赴任中に当時フランスで洋画家修業に転向していた黒田清輝(1866-1924)と親しく交流していた。 住友家家長を襲名していた弟春翠に黒田の油彩画購入を斡旋したのは、兄の西園寺だった。 春翠は、早速黒田に油彩画を依頼。 黒田滞欧の集大成として知られ、春翠が住友家家長となった同年1893年のサロン・デ・ソシエテ・ナショナル・デ・ボザール(国民美術家協会主催のサロン。 民営化された後のサロンのひとつ)に入選を果たしていた 《朝 妝》 を購入するところとなったのだった。 さらに、帰国後の黒田が1898(明治31)年の白馬会第3回展に出品した《昔語り》の制作を援助、のちにこれを買い入れている。 この黒田作品収集が春翠の、ひいては住友の洋画コレクションの発端となつているのである。…


TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
美術館公式サイト:http://www.sen-oku.or.jp

〒106-0032東京都港区六本木1-5-1
住友コレクション 泉屋博古館分館
主催:公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社
   協賛:大日本印刷株式会社


参考資料:「フランス絵画の贈り物」図録、Press Release、他。


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